2024年度が始まりました。2025年の日本国際博覧会、いわゆる大阪・関西万博ももうすぐです。テーマ「いのち輝く未来社会のデザイン」に沿って、これからの未来を創造し、感じることができ、様々な技術の進歩にワクワクするような万博になると期待してやみません。
しかし、一方で科学の進歩と人間や社会の進歩が比例しているかどうか、疑問に感じる今日この頃です。例えば、この大都市大阪における人口減少から起こる様々な問題も、技術の進歩だけでは解決できない課題も多く、また、解決できたように見えることでも、私たち人間の営みに本当に良いことなのか悪いことなのか、しっかりと評価して新しい試みを実行していかなければなりません。
以前に、カンボジアに短期研修プログラムで留学した学生たちが、「ボランティアや支援は、きちんと考えて行わなければ現地にとって必ずしもいい結果を生まない」と報告会で発表していました。
先進国の技術や考え方を発展途上国の状況を考えずに押し売りすると、その国の自然体系、文化、営みが崩れてしまうことを学んだようです。
「古いものを誠実に守る心、新しものを正しく捉える心を育てよ」これは、劇作家であり、詩人そして政治家であったドイツのゲーテが残した言葉です。この言葉のとおり、目新しさや表面の美しさだけにとらわれず、日常の当たり前の中にある価値の素晴らしさを認識し、未来社会を、生きている意味をしっかりと考えられる人材を社会に送り出していきたいと思っています。彼ら彼女らがこの地域社会の文化を守り、新しい風を吹かせ、少しずつよりよい世界を、一人一人の命が輝く未来を創造してくれるよう、これからも園児、生徒、学生を支えていきたいと思います。
どうぞ本年度もよろしくお願い申し上げます。
学校法人 大阪国際学園
理事長 奥田 吾朗